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into pool
誰もいないプールを描いた AI アートシリーズ——そして、古いモデルのほうが良い絵を描いた理由。
- 年
- 2024
- 役割
- 個人制作——コンセプト、アートディレクション、画像生成、セレクト
- プラットフォーム
- Instagram(@intopool)
- 技術
- DALL·E 2, DALL·E 3, GPT-3.5, Python
pools are attractive to me, though I can't swim. their calm surfaces and silent depths invite curiosity, drawing me in. ——@intopool
into pool は、誰もいない屋内プールを描いた AI アートシリーズです。白いタイル、静かな水面、蛍光灯、プラスチックの椅子がひとつ、どこにも続かない階段。poolcore や リミナルスペースと呼ばれるジャンルに属し、大切なのはひとつの感覚です。静かで、懐かしくて、どこか少しおかしい。子どもの頃に一度だけ訪れて、二度と見つけられない場所のような感覚です。
画像生成ツールに「廃墟のプール」と打ち込むことは誰にでもできます。でも、その感覚を一枚一枚保ったままシリーズとしてまとめるには、別の何かが必要です。このケーススタディは、その「別の何か」についての話です。
最新モデルは、答えを外した
最初に使ったのは DALL·E 3、2024 年当時に使えた最も高性能な画像モデルです。長い説明文を正確に理解し、クリーンで、光がきれいで、構図の整った絵を描きます。
このシリーズでは、それこそが問題でした。DALL·E 3 に廃墟のプールを頼むと、文字どおりのものが返ってきます。瓦礫、剥がれたペンキ、ドラマチックな光の筋。どの絵も映画のセットのようです。あらゆる表面がシャープで、あらゆる細部につじつまが合っていて、記憶のようには感じられません。
求めていたのは、正反対の性質でした:
- 名前のつけられない違和感。 微妙に揃わないタイル、壁に向かうはしご、高さのおかしなドア。怖いものは何も写っていないのに、落ち着かない。
- 記憶としての低画質。 フィルムの粒子、色あせ、ピンぼけ。レンダリングではなく、20 年前に誰かが撮った写真のように見えること。
- 素人っぽいフレーミング。 少し傾いていて、中心がずれていて、誰も真剣に撮っていないような構図。
- 恐怖ではなく、静けさ。 不気味になった瞬間、懐かしさは消えてしまいます。
古くて「性能が低い」はずの DALL·E 2 は、これらをデフォルトで描きます。歪み、少し溶けたような形、ざらついた質感。古く見える原因だった特徴こそが、この世界観に必要なものでした。当時のメモにはこうあります:「dalle3:core っぽくない。dalle2:すごく core。ランダムで荒々しく、コントロールしにくい。シンプルなプロンプトのほうがうまくいく。」
この比較は当時、DALL·E 2 Is Better Than DALL·E 3 In This Scenario という記事に書きました。同じプロンプト、2 つのモデル。そして「劣っている」はずのほうが、良い絵を描いたのです。
最新のツールは平均的には最良です。でも、クリエイティブの依頼が平均的であることはありません。 どの世界観にどのツールが合うかを見極めることも、腕のうちです。
つくる前に、世界観を定義する
プールの「感じが合っているか」を判定してくれるソフトウェアはありません。だから大量に生成する前に、「合っている」とは何かを書き出しました:
- リサーチ。 既存の poolcore やリミナルスペースの作品、実在する公営プールの写真、そしてコミュニティがこの感覚を表すのに使う言葉(
#dreamcore、#liminalspace、#anemoia、#backrooms……)。 - ビジュアルの語彙。 モチーフのリスト(白いタイル、プラスチックの椅子、壁の黒い穴、ぽつんと浮かぶアヒル、赤いウォータースライダー)と、ムードのリスト(静寂、残響、VHS のノイズ、ぼやけた記憶、古き良き時代)。シリーズのすべての絵はこれらから組み立てられていて、だからこそ バラバラな画像の寄せ集めではなく、ひとつの世界に見えます。
- はっきりした NG 基準。 きれいすぎる、ドラマチックすぎる、怖すぎる、AI っぽすぎる。ほとんどの画像はこのどれかで落ちます。どれで落ちたかがわかれば、次に何を変えればいいかもわかります。
これはキャンペーンのトーンを決めるアートディレクターの仕事と同じです。AI を使うときは、なおさら重要になります。ツールは、依頼から外れた画像を喜んで千枚でも生み出すからです。
2 つのモデルを組み合わせて、コントロールと空気感を両立する
答えは単に「古いモデルを使う」ことではありませんでした。DALL·E 2 は思いどおりに動かしにくく、タイル張りのホールに赤いウォータースライダーを頼むと、どこかに何となく赤いものが出てくるだけです。DALL·E 3 はその逆で、構図は正確でも、空気感が違います。
そこで、それぞれの得意分野を任せました:
- DALL·E 3 が場面をつくる。 プールの位置、スライダーの曲がり方、光の入り方。
- DALL·E 2 が空気感を描き直す。 DALL·E 3 の画像を DALL·E 2 に渡し、ゆるくて、ざらついて、少しおかしい、あのタッチで解釈し直させます。
技術的な基準で比べれば、左の絵が勝ちます。よりシャープで、つじつまが合っていて、細部も豊かです。それでも、このシリーズにふさわしいのは右の絵です。
効率よく進めるために
何を残すかを決めるのは美意識です。そこにどれだけ早くたどり着けるかを決めるのはプロセスです。生成した画像のうち、シリーズに残るのはごく一部です。クリエイティブではよくあることなので、探索の一周一周を速く、安くすることを目指しました:
- 再利用できるプロンプトのセット。 名前のついたレシピ(「夢」「闇」「円」、まるごと中国語で書いたものも)を組み合わせたり変化させたりでき、毎回書き直す必要がありません。良い方向性は、偶然の産物ではなく、いつでも戻ってこられる場所になります。
- アイデアジェネレーター。 AI のライティングアシスタントがビジュアルの語彙から新しい場面の描写を書き出し、自分では思いつかない組み合わせを提案します。合うものだけを残します。
- AI に勝手に「改善」させない。 新しいモデルは、こっそりプロンプトを書き換えて細部を足してしまいます。空っぽさが核になっている世界観では逆効果なので、短いプロンプトはそのまま使うようモデルに指示しています。
- すべてを記録する。 どの画像も、それを生んだプロンプトとモデルと一緒に保存しています。「あの一枚みたいなのをもっと」と言われたら、本当にもっとつくれます。
Web の画面で一枚ずつクリックするのではなく、小さなスクリプト群で進めたことで、大量の生成も一人で管理できました。同じ仕組みは、キャンペーンやコンテンツカレンダーに必要な量にも広げられます。
ビジュアルを依頼しようとしている方へ
AI で画像は安くなりました。でも、良い画像が安くなったわけではありませんし、一貫した世界観が簡単になったわけでもありません。本当に対価を払う価値があるのは判断力です。作品がどんな感覚を持つべきかを知り、それが現れたときに見抜き、何週間も試行錯誤を重ねずにそこへたどり着く力です。
私のバックグラウンドはアニメーションと VFX です。短編映画を制作し、Maya や Houdini 向けの制作ツールも開発してきました。構図、光、質感、ムードは、意識して見るものです。技術があるから速く探索でき、美術の目があるから、どの結果を残すべきかを決められます。
お手伝いできること
- ひと目でわかる世界観のシリーズ:SNS コンテンツ、Instagram の企画、ひとまとまりに見えるキービジュアル
- ムードボードとコンセプト探索:ゲーム、アニメーション、映像、音楽リリース、インテリア向けに、多くの方向性をすばやく探り、正解の方向を深掘り
- キャンペーン・ブランドビジュアル:ありがちな AI 画像ではなく、御社のアートディレクションに沿ったビジュアル
- チームで再現できるプロセス:世界観を支える語彙、プロンプトのレシピ、レビュー基準。私がいなくても同じものをつくれるように
- 最適なツール選び:最新モデルのこともあれば、古いモデルのことも、2 つの組み合わせのこともあります。モデルの発表日ではなく、仕上がりで選びます
頭の中にある「感じ」を、AI でなかなか形にできずにいるなら、ぜひお話を聞かせてください。